簿記3級(ネット試験)は独学可能?勉強方法・試験テクニックについて
2022年5月29日の簿記3級(ネット試験)に合格しました。
今回は簿記3級(ネット試験)について、独学が可能かどうかや私が簿記3級で意識した勉強方法や活用した試験テクニックについて紹介しようと思います。
簿記3級(ネット試験)は独学可能かどうか?
まず結論から申し上げると独学は可能です。
というか個人的には独学の方がいいと思います。
日商簿記はメジャーで歴史もある資格のため、独学する教材が豊富ですし、難易度も普通なので毎日コツコツと努力すれば1~3カ月で合格できる資格です。
難易度や勉強時間についてはこちらの記事でまとめています。
shikaku-syutoku.hatenablog.com
某YOUTUBERであるリ〇大の〇学長はクレ〇ールの通信講座をやたら薦めてましたけど、簿記3級レベルで通信講座を利用するのは流石にコスパが悪いですし、通信講座を薦める理由が「正しい簿記の知識を得られるから」というのは理由として弱いと思います。そもそも独学だと正しい簿記の知識を得られにくいという理屈が良くわからない。
心が汚れているせいか、紹介マージンを貰っているようにしか見えないんですよね。どれだけ無益を装っても所詮人の子だよなぁと思う次第です。
話がそれましたが、私としては通信講座を利用するなら士業レベルの資格からでいいと思いますよ。簿記3級で通信講座を利用している人は周りで見かけたことないです。
簿記3級(ネット試験)の勉強方法
勉強方法は市販のテキストと問題集を解き進めていけば良いと思いますが、勉強を進めるに意識しなければいけない点がいくつかあります。
仕訳を極める
簿記は仕訳に始まり仕訳で終わるといっても過言ではないぐらい仕訳が重要です。
問1~問3すべてに仕訳が関わります。
簿記界の英単語みたいな存在なので、基本的な仕訳から応用的な仕訳まで幅広く解けるようにしましょう。
簿記の流れや理屈を理解する
一応暗記ゴリ押しでもパターンがある程度決まっているので「よくわからないけど解ける」という状態にはなります。(経験済み)
しかし、ちょっとパターンから外れたり未払金や前払金のような思考が必要な問題にあたるとたちまち解けなくなります。
仕訳一つ一つに意味があり、簿記の仕組みを理解することが合格するうえで必要だと思います。
簿記の流れや理屈を理解するのであれば”ふくしままさゆきシリーズ”は使えます。
またテキスト紹介の記事で詳しく解説しようと思いますが、コレは簿記の流れや理屈を理解することについては評判通りだったのでおススメです。
3級は100円以下で安いし、アマプラ民だと無料だし。
YOUTUBEの講義もあります。
ただしクセがあります。合わない人は合わないかも?
ネット試験対応の問題集で演習を行う。
簿記3級をネット試験で受ける場合、必ずネット試験対応の問題集を買ってください。
ネット試験は問題に直接書き込めない制約があったり、タイプして金額を入力するなど筆記とは違う独特の解き方になります。私の場合、過去に買っていた2019年度の問題集で勉強を進めていましたが、1度もネット試験形式の演習をしないまま臨んで面喰らい、落ちてしまいました。ネット試験を受ける場合はネット試験形式で演習を積みましょう。
簿記3級(ネット試験)の試験テクニック
問題のボリュームがそこそこある中、試験時間が60分しかないので、テキスト通りに問題を解くと時間が足りないです。少しでも時短することが簿記3級攻略のコツになります。
うまくハマれば35分程で問1と問3が解けます。
勘定科目の省略
簿記ではメジャーな試験テクニックです。
メモ書きする勘定科目を省略することで時間短縮を図れます。
例題:商品3,000円を売り上げ、代金は全額掛けとした。
という問題があったとしてメモに書く際
売掛金 3,000 売上 3,000と書くのではなく
売× 3,000 売上 3,000
と書くという話です。
サンプルで私が使っていた省略一覧を共有します。
特にこれにしなければならないということではなく自分がやりやすい形で省略してください。少なくとも、よく使う勘定科目だけは省略したほうがいいですよ。
下記のサンプルを参考にする場合はいくつか注意点があります。
- 受取/支払手形と受取/支払手数料の略は分かるように区別する。
- 未払金や前払金は未払○○、前払○○という形で省略する。
例:未払家賃なら未払家など - 減価償却費と減価償却費累計額の前に備品か建物をつけて省略する。
例:建物減価償却費→建減、備品減価償却費累計額→ビ累 など
資産 | → | 資産(略) | 負債 | → | 負債(略) |
---|---|---|---|---|---|
現金 | → | 現 | 買掛金 | → | 買× |
普通預金 | → | ○フ | 当座借越 | → | 当借 |
定期預金 | → | 定 | 借入金 | → | 借入 |
当座預金 | → | 当 | 支払手形 | → | 支手 |
受取手形 | → | 受手 | 電子記録債務 | → | 電務 |
電子記録債権 | → | 電権 | 手形借入金 | → | 手借入 |
商品 | → | 商 | 未払金 | → | 未払 |
繰越商品 | → | クリ商 | 前受金 | → | 前受 |
売掛金 | → | 売× | 仮受金 | → | 仮受 |
クレジット売掛金 | → | クレ× | 預り金 | → | 預金 |
貸付金 | → | 貸付 | 従業員預り金 | → | 従業預 |
手形貸付金 | → | 手貸付 | 所得税預り金 | → | 所預 |
未収入金 | → | 未収 | 社会保険料預り金 | → | 社預 |
前払金 | → | 前払 | 未払配当金 | → | 未払配当 |
仮払金 | → | 仮払 | 未払法人税等 | → | 未払法 |
立替金 | → | 立替 | 仮受消費税 | → | 仮受消 |
従業員立替金 | → | 従業立替 | 未払消費税 | → | 未払消 |
受取商品券 | → | 受取商 | 未払費用 | → | 未払費 |
差入保証金 | → | 差入 | 前受収益 | → | 前受収 |
建物 | → | 建 | 純資産 | → | 純資産 (略) |
貯蔵品 | → | 貯 | |||
土地 | → | 土 | |||
備品 | → | ビ | |||
車両運搬具 | → | 車 | |||
仮払法人税等 | → | 仮払法 | 資本金 | → | 資本 |
仮払消費税 | → | 仮払消 | 資本準備金 | → | 資本準備 |
前払費用 | → | 前払費 | 利益準備金 | → | 利益準備 |
未収収益 | → | 未収益 | 繰越利益剰余金 | → | 繰剰 |
費用 | → | 費用(略) | 収益 | → | 収益(略) |
仕入 | → | 仕入 | 売上 | → | 売上 |
発送費 | → | 発費 | 受取利息 | → | 受取利 |
通信費 | → | 通信 | 償却債権取立益 | → | 償却債権 |
修繕費 | → | 修 | 固定資産売却益 | → | 売益 |
支払保険料 | → | 支払保 | 受取地代 | → | 受地 |
水道光熱費 | → | 水光費 | 受取手数料 | → | 受手数 |
支払手数料 | → | 支払手数 | |||
支払利息 | → | 支払利 | |||
旅費交通費 | → | 旅費 | |||
給料 | → | 給料 | |||
消耗品費 | → | 消耗 | |||
租税公課 | → | 租税 | |||
法定福利費 | → | 法定福 | |||
貸倒損失 | → | 貸倒損失 | |||
貸倒引当金繰入 | → | 引当繰入 | |||
減価償却費 | → | (建orビ)減 | |||
固定資産売却損 | → | 売損 | |||
支払家賃 | → | 支払家 |
その他 | → | その他(略) |
貸倒引当金 | → | 貸倒引当 |
減価償却累計額 | → | (ビor建)累 |
損益 | → | 損益 |
法人税、住民税及び事業税(法人税等) | → | 法人 |
余談ですが、現金の省略勘定科目として"Cash"の"C"を使う方もいるみたいで、人によって個性がでますね。私の場合、原則として勘定名の前半を抜いて省略しています。黄色背景は原則と大幅に異なるパターンのものを抜き出しています。
デノミ(/1,000)
私が調べた中では見かけなかった独自の試験テクニックです。
千円を”k”で表し、省略します。
例えば1,000円なら1k、3,400,000円なら3,400kです。
1,000で割って"k"をつけるだけです。
下の",000"の部分を"k"に変えるだけなので見た目スッキリします。
例題:商品3,000円を売り上げ、代金は全額掛けとした。
売× 3k 売上3k
と勘定省略と組み合わせるとかなり時短できます。
千円未満の場合も小数点を使って表せられるので問題ないです。
600円→0.6k
また、問3でよく出る
例題:借方500,000円の備品を残存価格を10%、耐用年数を5年とする定額法により減価償却を行う。
といった問題も、デノミすると
(500k-50k)/5
=450k/5
=90k
=90,000
と楽に計算できます。
さらにこのデノミ計算、問3の精算表や決算整理残高試算表などの締めにも活用できます。
(出典:https://www.jikkyo.co.jp/material/pdf/kakomon/nissho137_3.pdf)
例えば上記の様な精算表問題で仕訳が終わり、修正記入、損益計算書、貸借対照表の空欄を埋めることができ、最後に合計値を計算するとした場合、一般的には損益計算書欄の貸方から
5,279,000+63,000+2,080+1,000を電卓で打って5,345,080の合計を導き出すと思いますが
,000をデノミ(/1,000)して電卓を打つと
5,279+63+2.08+1=5345.08
最後にこの値に×1,000をすると5,345,080が導き出せます。
締めの合計計算はこれでした方が間違えないですし、手間も少なくなりかなり簡略化できます。
1つ弱点があるとするならば、1,000円未満の金額が多く含まれる場合は使いにくいです。ただ、ネット試験の場合1,000円以上がほとんどなので問題ないかと思います。
このようにデノミ計算は応用範囲が広く、かなり時短できるので覚えておいて損はないです。
もしかして","ってこのためにあるのでは・・・?
ちなみに"k"を使うのはネトゲをやってた時の名残です。
よくネトゲでは10kや1mなどと言ってアイテムのやり取りを行っていました。
mはmillionの略でしょうけどkはkmとかのkなんですかね?
問3の解答方法
問3は決算整理仕訳を解かなければ表を埋められない形式ですが、すべての決算整理仕訳を終えてから表に転記するのではなく、1つの決算整理仕訳を解くごとに表を埋めた方がいいです。理由は大きく2つ
1つずつ仕訳して転記しても、2回同じ勘定科目を使う仕訳をした記憶にないので問題ないです。やってみると分かりますがまとめて転記するより都度転記した方が楽です。
問題の解く順序
問1→問3→問2の順で解きましょう。
ぶっちゃけ問1と問3がほぼ完璧であれば合格点に達しますし、問3は芋づる式の問題であるためどうしても解答に時間がかかります。また問2は問題によっては短時間で解答可能な問題もあるので、小題1問分からなくても最悪カバー可能です。
未払金、減価償却費などの問題はタイムテーブルを描く
未払金や前払金、減価償却費などの期間が絡む問題は頭の中で計算せず、タイムテーブルを描いて解きましょう。特に減価償却費の問題なんかは取得日と当期が年単位でズレている場合が多いので、タイムテーブルを描いて整理した方がいいです。